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【第1章】SNSにおけるリスクの種類と事例

SNSには「炎上」や「情報流出」など、一般消費者の目にも見えるトラブルだけではなく、「なりすまし」「アカウントの乗っ取り」のような一般消費者の目には見えない場所で起きているトラブルなど多数存在します。

まず初めに、どのようなリスクがあるのか。
一例をご紹介します。

目次

SNSにおけるリスク例

情報漏洩のリスク

【概要】
社内の機密情報や個人情報がSNS上で漏洩する可能性や、ずさんな情報管理統制による社内情報の流出

【事例】
社員の不注意による情報漏洩

新入社員がSNSに「今日のランチは美味しかった」と写真付きで投稿。
この写真に写り込んでいたホワイトボードに、未発表製品のスケジュールが記載されていたため、外部に情報が漏洩。

ある企業で、社内の飲み会の様子を撮影した写真をSNSに投稿。
この写真に映り込んでいた従業員の名札や電話番号が特定され、従業員が迷惑電話の被害に遭った。

社員が会議後に「今日のプレゼンは成功!」と投稿した写真に、会議資料が映り込んでいた。
この資料には取引先やプロジェクトに関する詳細が記載されており、取引先からクレームが発生した。

SNS経由のプレゼント配布の際に使用したクラウドストレージサービスの設定ミスにより、顧客情報が誰でもアクセスできる状態になっていた。
結果として、顧客情報が流出し、顧客からの信頼を失墜させただけでなく、多額の損害賠償請求を受けることになった。

退職した社員が、在職中にアクセスしていた社内システムに不正にログインし、顧客情報を持ち出した。
持ち出された情報は競合他社に売却され、企業は大きな損害を被った。

予防策の例
・投稿前に内容を必ずダブルチェックする仕組みを導入する
・機密情報や業務内容の投稿は禁止するルールを設定
・社内の写真撮影禁止のルールを設定

炎上のリスク

【概要】
投稿が誤解を招き、SNS上で批判が集中する状況

【事例】
軽率な投稿や誤解される投稿が企業批判に発展したケース

飲料メーカーがTwitterで「この夏、太りたくないなら当社製品を!」と投稿。この文言が「太った人を揶揄している」と解釈され、多くの批判コメントが寄せられ、炎上に発展した。

企業の公式アカウントから「今日の会議は最悪!この会社どうかしてる!」という内容が投稿され、すぐに削除されたが、スクリーンショットが拡散されてしまい炎上。

ある企業がSNSで「平和を願っています」と投稿。この意図は良かったものの、中立的に見えず特定の立場を支持していると誤解され、一部地域で不買運動に発展した。

インフルエンサーに依頼したプロモーションで、インフルエンサーが不適切な発言をしたため、企業にも批判が殺到し炎上した。
企業はインフルエンサーとの契約を解除し、謝罪文を掲載したが、ブランドイメージの回復には時間を要した。

競合他社の製品を批判する投稿をしたところ、それが「営業妨害」とみなされ、訴訟に発展した。
企業は敗訴し、多額の賠償金を支払うことになった。


予防策の例
・投稿内容が「炎上さしすせそ」に該当しないか確認する※1
・投稿前に上司や同僚と内容を共有して確認を取る

※1
さ:災害・差別
し:思想・宗教
す:スパム・スポーツ・スキャンダル
せ:政治・セクシャル
そ:操作ミス(誤投稿)

デマ・フェイクニュース拡散のリスク

【概要】
真偽不明の情報がSNSを通じて拡散され、混乱を招くリスク

【事例】
デマや信憑性の薄い投稿でトラブルに発展するケース

ある食品メーカーの製品に「異物が混入していた」との投稿がSNSで拡散。
しかし、その投稿には証拠がなく、投稿者は単なる憶測で情報を拡散していた。
その結果、真偽が確認される前に企業に対する批判が殺到し、不買運動が始まった。

SNSで「アパレルブランドの工場で従業員が低賃金で働かされている」とのフェイクニュースが拡散。
実際には事実無根だったが、SNSでの批判が広がり、ブランドのイメージが傷つけられた。

ある健康食品が「○○病を治す効果がある」とSNSで拡散され、購入者が急増。
その後、情報が誤りであることが判明し、消費者から企業にクレームが殺到し、信用を失った。

自然災害発生時に、「〇〇市で暴動が発生している」というデマがSNSで拡散された。
実際には暴動は発生していなかったが、このデマによって市民はパニックに陥り、混乱が生じた。
企業の公式アカウントもこのデマを拡散してしまい、後に謝罪することとなった。

予防策の例
・デマ投稿を迅速に発見するためのモニタリング体制を強化する
・拡散に関する対応マニュアルを事前に準備する
・投稿の事実確認を行い、公式アカウントで迅速に否定する声明を出す

プライバシー侵害のリスク

【概要】
他人の個人情報や写真を無断で投稿するリスク

【事例】
イベントで撮影した写真に他人が写っていたためトラブルに発展

ある企業が忘年会の様子をSNSに投稿。
その中に、アルバイトスタッフが写り込んでおり、顔がはっきりと判別できる状態だった。
このアルバイトスタッフはSNSへの顔出しを拒否していたが、投稿前に確認が行われておらず、スタッフ本人やその家族からプライバシー侵害の抗議を受け、企業にクレームが殺到した。

ある企業が展示会の様子を撮影し、SNSに投稿。
その中に映り込んでいた来場者が「勝手に写真を撮影され、無断で公開された」とSNS上で批判を展開した。
この投稿が拡散され、企業イメージが悪化した。

ある企業が学校と共同で開催したイベントの写真をSNSに投稿。
その写真にはイベントに参加した子供たちが多数映っており、親から「子供のプライバシーが侵害された」との抗議を受けた。
特に未成年者が映っていることで問題が大きくなった。

予防策の例
・投稿する写真や動画に他人が映り込んでいないか確認する
・必要に応じて肖像権の許諾を取る

アカウント乗っ取りのリスク

【概要】
アカウントがハッキングされ、なりすまし投稿やスパムが拡散されるリスク

【事例】
企業公式アカウントが乗っ取られ、不適切な投稿が拡散

大手食品メーカーのTwitterアカウントがハッキングされ、乗っ取られた結果、暴力的な言葉や不適切な画像が連続して投稿された。
フォロワー数が多かったため、投稿が瞬く間に拡散され、企業イメージが大きく損なわれた。

全国展開している小売チェーンの公式アカウントが乗っ取られ、「全員に1万円分の商品券をプレゼント」という偽キャンペーンが投稿された。
多くのフォロワーがリンクをクリックし、詐欺被害が発生した。
これにより、企業が詐欺の共犯者と疑われる事態にまで発展した。

大手スポーツブランドの公式アカウントが乗っ取られ、不適切なユーモアやブランドのイメージにそぐわない内容が連続投稿された。
多くのフォロワーが「公式の投稿」と信じて拡散し、後に乗っ取りが判明したがブランドイメージの損害は大きかった。

企業の公式アカウントが乗っ取られ、フィッシング詐欺サイトへのリンクが投稿された。
多くのフォロワーがリンクをクリックし、個人情報やクレジットカード情報が盗まれた。

【予防策の例】
・二段階認証を必ず設定する
・パスワードを定期的に変更し、複雑なものを設定する

業務ミス・運用エラーのリスク

【概要】
公式アカウントでの誤爆や運用ミスがブランドイメージに影響を与えるリスク

【事例】
公式アカウント運用における「ヒューマンエラー」や「確認不足」が炎上に繋がった

ファッションブランドの公式アカウントが、「新商品のデザイン微妙(笑)」という未完成の投稿を誤って公開。
元々は担当者が自分の意見を記録する目的だったが、公式アカウントから投稿されてしまい、フォロワーから批判が殺到した。

台風の被害が報道されている最中、大手小売企業の公式アカウントが「週末限定!大バーゲン開催中!」と自動投稿。
このタイミングが不謹慎とされ、「被災者への配慮が足りない」と批判が集中し、炎上に発展した。

公式アカウントが新商品のキャンペーンで「#○○最高」というハッシュタグを採用。
しかし、別の意味でそのハッシュタグが使われていることを確認せずに投稿したため、ネガティブな投稿と結びつき、ブランドイメージが悪化した。

【予防策の例】
・アカウント管理体制の強化
・投稿前の確認フローの導入
・モニタリング体制の整備

アカウント停止のリスク

【概要】
SNSプラットフォームの規約違反や外部からの不正行為が原因で発生するリスク

【事例】
不適切な投稿やスパム行為、嫌がらせでアカウントが凍結

ある飲食チェーンの公式アカウントが、ユーザーからの批判コメントに対し感情的なリプライを投稿。
そのリプライが不適切な表現(例:侮辱的な言葉)と見なされ、SNSプラットフォームの規約に違反したため、アカウントが停止された。
結果として、数週間にわたり顧客とのデジタルコミュニケーションが途絶えた。

大手アパレルブランドが、自社商品のキャンペーンを宣伝するために短期間で大量のコメントやDMを投稿。
その結果、スパム行為と見なされてアカウントが一時的に停止された。
停止中に発信予定だった新商品のプロモーションが遅れ、売上に影響を及ぼした。

公式アカウントが他の企業のアカウントに酷似した名前やプロフィール画像を使用していたため、SNSプラットフォームにより規約違反と判断され停止された。
実際には「なりすまし」ではなかったが、ユーザーからの報告によって停止措置が取られた。

 著作権で保護されたコンテンツを無断で投稿したため、アカウントが永久停止になった。
企業は新しいアカウントを作成する必要があり、これまでのフォロワーを失うことになった。

【予防策の例】
・投稿前の確認フローの導入
・別のSNSプラットフォームやオウンドメディア(公式サイト)での情報発信手段を確保

いくつか事例を挙げましたが、どれも企業にとっては致命的なダメージを与えてしまうことを理解しましょう。
また、このようなトラブルが起きると必ずと言って良いほど「炎上」します。

SNSで炎上すると、どのような影響があるのか。
個人と企業の視点で解説します。

炎上における個人と企業の影響

個人

SNS炎上は、個人の人生における様々な局面に深刻な影響を及ぼします。
単なるネット上の出来事として軽視せず、その影響の大きさを認識することが重要です。

教育・キャリアへの影響
学生であれば停学・退学処分。
社会人であれば減給・解雇、内定取り消しなど、将来のキャリアに大きな影響を与える可能性があります。
一度炎上してしまうと、インターネット上に情報が残り続けるため、就職活動や転職活動においても不利になる可能性があることを覚えておいてください。

経済的な影響
損害賠償請求や訴訟に発展した場合、多額の費用負担が発生する可能性があります。
また、炎上によって仕事を失った場合、収入が途絶えるという経済的なリスクも抱えることになることに注意が必要です。

社会的な影響
個人情報の特定・拡散、誹謗中傷などにより、社会的な信用を失墜させ、人間関係の悪化や孤立を招く可能性があります。
家族や友人にも迷惑がかかり、日常生活にも大きな支障をきたす可能性もあるため普段から慎重な運用を心掛けてください。

精神的な影響
炎上による誹謗中傷やバッシングは、精神的なダメージを与え、不安や恐怖、抑うつ状態などを引き起こす可能性があります。
最悪の場合、自殺などの深刻な事態に発展するケースにもなりかねません。


一度SNSに投稿された情報は、たとえ投稿者が削除したとしても、スクリーンショットなどで保存され、拡散される可能性があります。
つまり、インターネット上に半永久的に情報が残ってしまう可能性があるということです。
「相手にもリスクを与えてしまうかもしれない」という意識を常に持ち、責任ある行動を心がけることが大切です。

企業

企業にとって、SNS炎上はブランドイメージの失墜、業績悪化、訴訟リスクなど、経営に深刻なダメージを与える可能性があります。
炎上は企業規模に関わらず発生し、一度失った信頼を取り戻すことは容易ではありません。

ブランドイメージの失墜
炎上によって企業の信頼が損なわれ、ブランドイメージが低下します。
これは、長年かけて築き上げてきた企業の信用を一瞬で失うことを意味し、今後の事業展開にも大きな影響を及ぼします。

業績悪化
不買運動、取引停止、株価下落など、業績に直接的な影響が出ることがあります。
また、新規顧客の獲得が難しくなったり、既存顧客が離れてしまう可能性もあります。

訴訟リスク
炎上の内容によっては、名誉毀損や営業妨害などで訴訟に発展する可能性があります。
訴訟には多額の費用と時間がかかり、企業活動に大きな負担となります。

社内への影響
社員のモチベーション低下、離職率の増加、採用活動への悪影響など、社内にも悪影響を及ぼす可能性があります。

企業は、SNSのリスクを理解し、炎上対策を徹底する必要があります。
従業員への教育、SNS運用ルールの策定、モニタリング体制の構築など、事前に対策を講じることが重要です。
一度拡散されたネガティブなイメージを払拭するには、膨大な時間とコストがかかるので、社員一人ひとりがSNSのリスクを認識し、責任ある行動をとることが、企業を守ることに繋がります。

以上のように、個人と企業では炎上による影響は大きく変わります。
しかし、どちらにしても多大な被害を受ける可能性があることに変わりはありません。

次に炎上の主な原因を解説するので、しっかりと内容を把握していきましょう。

炎上する主な原因

SNSは企業にとって強力なマーケティングツールになり得る一方、使い方を誤ると「炎上」という大きなリスクを招きます。
炎上は企業の評判や業績に深刻なダメージを与えるため、未然に防ぐ対策が必要です。

SNS運用で注意すべき点として、「炎上さしすせそ」というフレーズが広く知られています。
これは、SNS上で炎上しやすいトピックや内容を頭文字で覚えやすくまとめたものです。
企業や個人がSNSを利用する際に、炎上リスクを回避するための基本的なガイドラインとして活用できます。

それぞれの項目について解説するので、炎上する主な原因としてしっかりと認識してください。

「さ:災害・差別」

【災害
地震、台風、洪水などの自然災害発生時に、不適切なタイミングや軽率な表現で投稿すると、被災者や関係者を傷つけ、批判を招く可能性があります。

例えば、災害発生直後に「特売セール開催中!」といった宣伝投稿は、不謹慎と捉えられかねません。
配慮に欠ける投稿は避け、被災地への支援情報などを発信することが適切です。

差別】
性別、年齢、人種、宗教などに関する差別的な内容は、炎上の火種となります。
男女間の役割分担に関する固定観念を含む投稿は、ジェンダーバイアスと批判される可能性も出てきます。
そのため、あらゆる属性の人々に対する配慮を欠いた表現は避け、多様性を尊重する姿勢を示すことが大切です。

「し:思想・宗教」

【思想
政治的な立場や個人の価値観を明確に表現すると、SNS上で対立や批判を招きやすくなります。
特定の政策を批判したり、政治的な選挙活動に関与する投稿は、炎上リスクを高めるため注意が必要です。

宗教】
宗教に関する投稿や発言は、非常にデリケートな問題であるため、細心の注意が必要です。
特定の宗教を支持または批判する投稿、宗教的象徴を軽んじたジョークなどは、不適切とされ、批判の対象となる可能性が高まります。

「す:スパム・スポーツ・スキャンダル」

【スパム
短期間に大量の広告や宣伝を投稿する行為は、スパムとみなされ、フォロワーに不快感を与え、炎上につながる可能性があります。
プロモーションキャンペーンなどでDMを大量送信する際も、頻度や内容に配慮することが重要です。

スポーツ】
特定の選手やチームへの偏った発言や、試合結果に対する過剰な感情表現は、炎上の原因となります。
熱狂的なファンが多い分野だからこそ、冷静で客観的な表現を心がける必要があります。

スキャンダル】
根拠のないゴシップや未確認の噂を投稿すると、不適切な情報拡散とみなされ、大きな問題に発展する可能性があります。
有名人のプライベートに関する未確認情報などを安易に拡散しないよう、注意が必要です。

「政治・セクシャルLGBTQ含む

【政治
特定の政治的立場や政党を支持・批判する投稿は、意見の対立を招きやすく、炎上に発展しやすいです。
政治関連の話題は、中立的な立場を保ち、個人的な意見の発信は控えることが賢明です。

セクシャル(性的な表現、LGBTQ含む)】
性的な表現や軽率なコメント、LGBTQ+関連のテーマに関する不適切な対応は、ユーザーから強い批判を受ける可能性があります。
多様性への配慮を欠いた表現は避け、誰もが不快に感じないよう、言葉選びに注意を払いましょう。

例:ファッションブランドが「セクシーさ」を強調した広告を投稿したところ、一部のユーザーから性的に不快だと批判され炎上した。
例:企業が「家族割引」キャンペーンを実施する際、「家族」の定義を伝統的な構成(両親と子供)に限定した表現を用いたため、「LGBTQ+の家族を排除している」と批判され炎上した。

LGBTQとは?】
LGBTQは、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)を指す用語で、以下の5つの頭文字から構成されています。
それぞれが性的指向や性自認の違いを示しています。

L:Lesbian(レズビアン)
・女性が女性に対して恋愛感情や性的関心を抱くこと。

G:Gay(ゲイ)
・男性が男性に対して恋愛感情や性的関心を抱くこと。

B:Bisexual(バイセクシュアル)
・性別に関係なく、男性・女性の両方に恋愛感情や性的関心を抱くこと。

T:Transgender(トランスジェンダー)
・自分の性自認(自分自身の性別に対する感覚)が出生時に割り当てられた性別(生物学的性別)と異なる人。

Q:Queer/Questioning(クィア/クエスチョニング)
・自分の性的指向や性自認について、まだはっきりしていない、または模索中の人。

「そ:操作ミス(誤投稿)」

【操作ミス
個人アカウントと公式アカウントを間違えて投稿する、意図しない内容を誤って投稿するなど、操作ミスは炎上につながる可能性があります。
投稿前に必ずアカウントと内容を確認するなど、ダブルチェック体制を徹底しましょう。

「炎上さしすせそ」は、あくまでも炎上しやすい代表的な例です。
炎上はこれら以外にも、様々な要因で起こり得ることを理解しておきましょう。

企業アカウントは、投稿内容がブランドイメージに直結するため、特に慎重な運用が求められます。
日頃からリスク管理を徹底し、炎上を未然に防ぐ努力を続けましょう。

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