企業のSNS運用は、もはや単なるマーケティング手法ではなく、企業のブランド戦略や顧客との関係構築において不可欠な要素です。
しかし、SNSは自由度が高い一方で、一歩間違えれば炎上やブランド毀損につながるリスクも伴います。
・担当者が独自の判断で投稿を行い、企業イメージにそぐわない情報を発信してしまう
・誤った対応でクレーム対応に失敗し、炎上を招く
・投稿の承認フローが不明確で、思わぬリスクを見落としてしまう
このような事態を防ぎ、企業の信頼を守りながら、効果的なSNS活用を実現するためには、明確な「社内ルール」を策定することが不可欠です。
本章では、SNS運用のリスクを抑えながら、企業の成長につなげるための「社内ルールの策定方法」について詳しく解説していきます。
まずは、SNS運用においてなぜ社内ルールが必要なのか見ていきましょう。
SNS運用を成功に導くための鉄壁の社内ルール
SNSは、企業のブランド構築や集客において強力なツールです。
しかし、その運用にはリスクも伴い、企業イメージを大きく損なう可能性もあります。
特に、「ルールが不明確な状態で運用されている」 企業では、次のような問題が発生しやすくなるのです。
・投稿内容の一貫性がなく、ブランドイメージが定まらない
・担当者ごとに運用方法が異なり、方向性がブレる
・不用意な投稿や発言が炎上を招き、企業の信用が低下する
・運用体制や承認フローが不明確なため、問題が発生した際の対応が遅れる
こうしたリスクを回避し、SNSを効果的に活用するためには、「明確な社内ルール」を策定し、それを社内に浸透させることが不可欠です。
まずは、社内ルールを設けることで得られる具体的な効果について見ていきましょう。
社内ルールを設けることで得られる効果の例
SNS運用において、明確な社内ルールを設けることは、単にリスク回避のためだけではありません。
むしろ、戦略的にSNSを活用し、企業のブランド価値を高め、業務の効率化を図るための重要な施策でもあります。
社内ルールを整備することで得られる具体的な効果を紹介します。
1️⃣ リスクの軽減
社内ルールがないままSNSを運用すると、炎上や情報漏洩などのリスクが高まります。
特に、以下のようなリスクを未然に防ぐことが可能です。
✅ 投稿ミスや不用意な発言による炎上を防ぐ
例えば、従業員がプライベートアカウントと公式アカウントを誤って操作し、不適切な投稿をしてしまうケースを回避できる。
✅ 企業機密や個人情報の漏洩を防ぐ
「どの情報を公開してよいのか」を明確にルール化することで、従業員の不注意による情報漏洩を防げる。
✅ 著作権や肖像権の侵害を回避
他社の画像や音楽を使用する際のルールを定めることで、著作権違反による法的トラブルを避けられる。
2️⃣ ブランドイメージの向上
SNSは、企業のブランド価値を高める上で強力なツールです。
しかし、一貫性のない投稿や対応のブレがあると、ブランドイメージを損なうリスクがあります。
ルールを整備することで、以下のような効果を得られます。
✅ 企業イメージに沿った投稿ができる
企業のトンマナ(トーン&マナー)を統一することで、ブランドの一貫性を確保。
✅ フォロワーの信頼を獲得しやすくなる
例えば、顧客対応の方針を明確にし、迅速かつ適切な対応を徹底することで、ユーザーの安心感が高まる。
✅ SNSごとの発信スタイルを最適化
TikTokでは動画主体、X(旧Twitter)では速報性を重視するなど、プラットフォームごとに適切な運用ができるようになる。
3️⃣ 業務効率の向上
SNS運用は、多くの企業にとって専任担当者がいないケースも多く、「誰が何をすべきかが曖昧な状態」で運用が進められがちです。
ルールを策定することで、以下のように業務の効率化が図れます。
✅ 投稿の承認フローを標準化できる
「投稿前に誰が確認し、どのような流れで承認を行うのか?」 を明確にすることで、運用のスピードと精度を向上できる。
✅ フォロワーの信頼を獲得しやすくなる
例えば、コメント対応を「カスタマーサポートチーム」、投稿作成を「マーケティングチーム」と分担することで、業務負荷を軽減できる。
✅ SNSごとの発信スタイルを最適化
「誰が運用しても同じクオリティを保てる仕組み」 を整えることが可能になる。
4️⃣ 効果的なSNS運用の実現
SNS運用において、成功のカギとなるのは「継続的な改善」です。
ルールがあることで、データを活用した運用が可能になり、効果的なマーケティング施策へとつなげることができます。
✅ 運用データを一元管理し、PDCAを回しやすくなる
例えば、SNS分析ツールを活用し、「どの投稿が最も反響を得たのか?」 を把握しやすくなる。
✅ KPIに沿った戦略的な運用が可能に
投稿頻度やエンゲージメント目標を明確にし、定量的に成果を評価できる仕組みが整う。
✅ 「属人的なSNS運用」から脱却し、組織的なマーケティング活動へ
ルールに基づく運用を行うことで、「一部の担当者に依存する運用」から脱却し、組織全体でSNS活用を推進できる。」
5️⃣ 従業員の意識向上
SNS運用は、企業の公式アカウントだけでなく、従業員個人のSNSの使い方にも影響を与えます。
SNSリテラシーを向上させることで、次のような効果を期待できます。
✅ 従業員が「企業の代表」としての意識を持つようになる
「SNSでの発信は個人だけの問題ではなく、企業のブランドにも影響する」 という認識を浸透させることが可能。
✅ 社内教育の一環として活用できる
SNS研修を導入し、「投稿時に気をつけるポイント」や「個人アカウントの適切な使い方」 を指導することで、企業全体のリスク管理能力を高める。
✅ 従業員が積極的にSNS運用に関わる文化が生まれる
SNS運用の成功事例を社内で共有し、「チームとして運用する意識」 を高めることができる。
社内ルールを設けることは、決して面倒なことではありません。
しかし、企業を守り、成長を加速させるための重要な投資になります。
ルールがあるからこそ、SNSを安心して活用でき、その効果を最大限に引き出すことができるのです。
「うちの会社には関係ない」と思わずに、まずは小さなことからでも構いませんので、ルール作りに取り組んでみましょう。
きっと、その効果を実感できるはずです。
社内ルール策定の5つの鉄則
SNS運用における社内ルールは、単に「何をしてはいけないか」 という禁止事項を並べるだけでは不十分です。
運用の目的に沿った「実効性のあるルール」を策定しなければ、形骸化してしまい、適切に機能しなくなります。
そこで、本セクションでは、「実際に機能するルールを作るための5つの鉄則」を解説します。
これらの原則を押さえることで、実際の運用現場で役立つルール作りが可能になります。
鉄則①:明確性と具体性
【ルールはシンプルかつ具体的に!】
ルールが曖昧だと、担当者ごとに解釈が異なり、適切な運用ができなくなります。
誰が読んでも一貫した判断ができるように、明確で具体的な表現を用いることが重要です。
✅ 「やってはいけないこと」だけでなく「推奨すること」も記載する
悪い例:「不適切な表現は避けること」
良い例:「差別的な発言や誹謗中傷は禁止する。ポジティブな言葉を用いて発信する」
✅ 具体的な基準を設ける
悪い例:「適度な投稿頻度を保つ」
良い例:「1日1回以上、3回以下の投稿を推奨する」
✅ 適用範囲を明確にする
悪い例:「企業アカウントの管理を適切に行うこと」
良い例:「公式アカウントのログイン情報は、広報部およびマーケティング部のみがアクセス可能とする」
鉄則②:網羅性と最新性
【「想定外のリスク」を減らすため、最新の情報を反映し続ける!】
SNSのトレンドやプラットフォームの仕様は常に変化しています。
そのため、ルールを一度作成したら終わりではなく、定期的に見直しを行い、最新の状況に適応できるようにすること が必要です。
✅ 法改正やプラットフォーム規約の変更を反映する
例)
・著作権や景品表示法の改定があった場合、ルールを修正
・TikTokやInstagramのアルゴリズム変更に伴い、投稿ルールを更新
✅ 最新の炎上事例を分析し、ルールに反映する
例)
・過去に発生した炎上事例を参考に、「このような投稿は禁止」と具体的に定める
・他社のSNSトラブルを社内で共有し、同じミスを防ぐ
✅ 定期的なルール見直しを行う
例)
・半年または1年ごとに、ルールをアップデートする仕組みを作る
鉄則③:実効性と遵守
【「作っただけのルール」では意味がない!実際に運用される仕組みを整える】
ルールを策定しても、守られなければ意味がありません。
そのため、「ルールがきちんと運用される環境づくり」 が重要になります。
✅ ルール違反の罰則を設定する
例)
・軽微な違反:口頭注意
・悪質な違反:減給・降格処分
・重大な違反(情報漏洩など):法的措置を検討
✅ チェック体制を整える
例)
・SNS投稿のダブルチェックを義務化(例:投稿前に広報部の承認を必須とする)
・コメント対応のエスカレーションフローを明確化(例:クレーム対応は責任者の判断を仰ぐ)
✅ 定期的な社内研修を実施する
例)
・「SNS運用ルール研修」を年1回実施し、ルールの周知を徹底
・新入社員向けにSNSリテラシー教育を義務化
鉄則④:柔軟性と適応性
【「ガチガチのルール」ではなく、実情に応じて変えられる柔軟な仕組みに!】
SNSの特性上、想定外の事態が発生することは避けられません。
必要に応じてルールを調整できる体制を整えておくこと も重要です。
✅ 運用状況に合わせて、ルールの改定を可能にする
例)
・SNSのアルゴリズム変更により、運用方針を柔軟に変更できるようにする
・「緊急時ルール変更のプロセス」を明確化 し、事態に応じた修正をスムーズに行えるようにする
✅ 状況に応じた例外規定を設ける
例)
・災害発生時の投稿ルールは、通常の承認プロセスを短縮する(即時対応を可能にする)
・「この条件に当てはまる場合は例外として適用可能」 といったガイドラインを用意する
鉄則⑤:周知徹底と教育
【「ルールを知っていること」が遵守の第一歩!】
せっかくルールを作っても、従業員がその内容を知らなければ意味がありません。
社内への周知と教育を徹底することが、ルールを実効性のあるものにするための重要なステップです。
✅ ルールを「見える化」する
例)
・社内イントラネットやマニュアルに掲載し、いつでも確認できるようにする
・「SNS運用ガイドライン」を1枚のPDFにまとめ、全従業員に配布する
✅ 研修を通じて理解を深める
例)
・新入社員研修でSNSリスクとルールを教育する
・定期的なワークショップを実施し、実践的な学習機会を提供する
✅ 過去の成功事例・失敗事例を共有する
例)
・社内で起きたSNS運用の成功事例・失敗事例をケーススタディとして活用
・「どうすればより良い運用ができるか?」を考える機会を作る
社内ルールは、企業の成長を支える重要な基盤です。
だからこそ、5つの鉄則を守り、実効性のあるルールを策定する必要があります。
ルール作りは、決して簡単な作業ではありません。
しかし、時間をかけて、丁寧にルールを作り上げることが、安全かつ効果的なSNS運用につながることを忘れないでください。
【SNS運用ルール策定】必須項目について
SNS運用ルールを策定する際には、単に「守るべきルールを決める」だけではなく、実際の運用に即した項目を網羅的に定めることが重要です。
「何をどのように運用するのか?」を明確にすることで、リスクを抑えながら、戦略的なSNS活用を実現できます。
本セクションでは、企業がSNS運用ルールを策定する際に「絶対に押さえておくべき9つの必須項目」を紹介します
これらの項目をしっかりと整備することで、トラブルを未然に防ぎ、企業のブランド価値を高めるSNS運用が可能になります。
1️⃣ 対象プラットフォーム: どのプラットフォームで情報発信を行うか?
2️⃣ 担当者・運用体制: 誰が、どのように運用を行うか?
3️⃣ アカウント管理: アカウントを安全に管理するためのルール
4️⃣ 発信内容: どのような情報を発信するのか?
5️⃣ 禁止事項: 絶対にやってはいけないことは?
6️⃣ 承認フロー: 投稿前のチェック体制はどうする?
7️⃣ コメント対応: ユーザー対応の基本方針
8️⃣ モニタリング: 炎上の芽を早期発見するには?
9️⃣ 危機管理: 緊急時対応はどうする?
対象プラットフォーム: どのプラットフォームで情報発信を行うか?
SNS運用ルールを定める際、各プラットフォームの位置づけと利用目的を明確にすることが不可欠です。
以下の要素を明文化し、適切な管理体制を構築しましょう。
1. メインプラットフォームの決定
SNS運用の中心となる 「メインプラットフォーム」を明確に定め、どのプラットフォームを主軸として運用するのかを社内ルールに記載します。
✅ 社内ルール規定例
第1条(メインプラットフォーム)
当社は、SNS運用におけるメインプラットフォームとして、原則として TikTok を利用するものとする。
ただし、マーケティング戦略上、必要と認める場合は、他のプラットフォームをメインとして利用することも可能。
変更を行う場合は、事前に責任者の承認を得ること。
2. 各プラットフォームの運用ルール
SNSごとに異なる特性を考慮し、各プラットフォームでの運用ルールを明確にすることが重要です。
プラットフォームごとの役割や投稿内容を明示し、運用の方向性を統一します。
✅ 社内ルール規定例
第2条(プラットフォーム別運用ルール)
(1) TikTok:企業の認知度向上、ブランディング、商品・サービスのプロモーション
(2) Instagram:ブランドイメージの向上、ビジュアルコンテンツによる情報発信
(3) X(旧Twitter):最新情報の発信、キャンペーン告知、顧客とのリアルタイムコミュニケーション
(4) YouTube:長尺動画による詳細な情報提供、教育・ブランディングコンテンツの発信
(5) Facebook:ビジネス層向けの情報提供、コミュニティ運営
なお、各プラットフォームの活用状況は定期的に見直し、変更が必要な場合は責任者の承認を得るものとする。
3. サブプラットフォームの活用ルール
メインプラットフォームに加え、補助的な役割を持つサブプラットフォームの運用ルールも明確にしておくことで、統一されたSNS戦略が可能になります。
✅ 社内ルール規定例
第3条(サブプラットフォームの利用)
メインプラットフォーム(TikTok)を補完する目的で、以下のサブプラットフォームを利用するものとする。
X(旧Twitter):リアルタイムな情報発信、ユーザーとの対話
Instagram:ブランドイメージの強化、詳細な商品情報の発信
サブプラットフォームの利用は、メインプラットフォームとの整合性を保つものとし、運用状況は定期的に評価する。
4. プラットフォームの追加・変更ルール
企業の成長やSNSのトレンドに応じて、新たなプラットフォームを追加・変更する必要が生じる場合があります。
このような変更をスムーズに進めるため、基準や承認プロセスを明確に定めておくことが重要です。
✅ 社内ルール規定例
第4条(プラットフォームの追加・変更)
新しいプラットフォームを追加する場合は、事前に責任者の承認を得るものとする。
また、現在利用しているプラットフォームを停止する場合も、理由を明確にした上で関係部署へ報告すること。
5. アカウント凍結リスクの管理
各プラットフォームの利用規約を遵守し、アカウント凍結リスクを最小限に抑えるルールを策定することも重要です。
✅ 社内ルール規定例
第5条(アカウント凍結リスクの防止)
当社のSNSアカウント運用において、各プラットフォームのコミュニティガイドラインを遵守するものとし、以下の行為を禁止する。
・著作権を侵害するコンテンツの使用
・虚偽情報や誇大広告の投稿
・禁止ワードの使用やスパム行為
アカウント凍結が発生した場合の対応フローについては、別途定めるものとする。。
これらのルールを定めることで、自社にとって最適なプラットフォームを選定し、効果的なSNS運用を実現できます。
特にTikTokをメインに運用する場合、動画コンテンツの企画・制作、コメント対応など、他のプラットフォームとは異なるルールも必要になるでしょう。
ルールは一度作ったら終わりではなく、定期的に見直し、改善していくようにしてください。
担当者・運用体制: 誰が、どのように運用を行うか?
SNS運用を成功させるためには、「誰が」「どのように」運用を行うのかを明確にすることが不可欠です。
担当者の役割分担を定め、適切な運用体制を構築することで、スムーズな業務遂行とリスク管理を両立できます。
このセクションでは、担当者の設定・運用体制のルール策定・引継ぎの手順について、社内ルールとして定めるべき内容を整理します。
1. 担当者の設定
SNS運用においては、複数の担当者が関わるため、誰がどの業務を担当するのかを明確にすることが必須です。
運用チームの構成を定め、責任の所在を明確にしましょう。
✅ 社内ルール規定例
第6条(担当者の設定)
当社のSNS運用における担当者は、以下の通りとする。
(1) 責任者(マーケティング担当):SNS全体の戦略立案、方針決定、最終承認
(2) 投稿担当(広報部):コンテンツ作成、投稿スケジュール管理
(3) コメント対応担当(営業部):ユーザー対応、クレーム管理
(4) 分析担当(マーケティング部):運用結果の分析、改善策の策定
各担当者は、それぞれの責務を遵守し、適切なSNS運用を行うこと。
2. 担当者の権限管理
SNS運用においては、誤った投稿や情報漏洩を防ぐため、各担当者の権限を明確に定めることが重要です。
権限の設定により、情報の管理体制を強化し、不正アクセスや不適切な投稿を防止します。
✅ 社内ルール規定例
第7条(担当者の権限)
(1) 責任者:全権限(戦略決定、最終承認、アカウント管理)
(2) 投稿担当:投稿・編集・スケジュール設定権限
(3) コメント対応担当:コメント閲覧・返信権限
(4) 分析担当:閲覧・データ取得権限
各担当者の権限は、定期的に見直し、必要に応じて変更を行うものとする。
3. 運用フローの策定
運用体制が確立されたら、投稿・管理・承認のフローを明確にし、スムーズな業務遂行ができるようにすることが重要です。
投稿前のチェック体制を強化することで、炎上リスクを最小限に抑えることができます。
✅ 社内ルール規定例
第8条(運用フロー)
SNSの運用は、以下のフローに従い実施するものとする。
(1) コンテンツ作成(投稿担当):投稿案の作成、画像・動画編集
(2) 社内チェック(投稿担当・責任者):投稿内容の確認・承認
(3) 投稿・スケジュール設定(投稿担当):承認後、指定日時に投稿
(4) モニタリング(分析担当):投稿の反応を確認、必要に応じて調整
(5) レポート作成(分析担当):月次レポート作成・改善策の策定
すべての投稿は、責任者の承認を得た上で発信することとする。
4. 情報共有と連携
SNS運用は、複数の部署が関与するため、情報共有を徹底することが不可欠です。
情報の伝達が滞ると、投稿ミスや対応の遅れにつながるため、社内ルールとして情報共有方法を明文化しましょう。
✅ 社内ルール規定例
第9条(情報共有と連携)
SNS運用に関する情報は、以下の手段で共有するものとする。
(1) チーム内チャット(日常的な情報共有・相談)
(2) 定期ミーティング(週1回、運用状況・改善点の共有)
(3) 月次レポート(月1回、運用結果の報告・振り返り)
各担当者は、情報共有を徹底し、円滑なSNS運用を行うこと。
5. 外部パートナーとの連携ルール
SNS運用を外部の代理店やパートナー企業に委託する場合、明確な連携ルールを定めることで、トラブルを防止 できます。
特に、投稿内容の承認フローやデータ共有のルールを厳格に設定することが重要です。
✅ 社内ルール規定例
第10条(外部パートナーとの連携)
当社のSNS運用を外部パートナーに委託する場合、以下のルールを遵守するものとする。
(1) 投稿内容の作成・管理は、当社の承認を経た上で行うこと。
(2) データ共有は、責任者の許可を得た範囲内でのみ実施すること。
(3) 契約内容に基づき、役割と責任範囲を明確にすること。
6. アカウント引継ぎルール
SNS運用担当者が異動・退職する際、アカウントの引継ぎを適切に行うことで、情報管理を徹底し、混乱を防ぎます。
引継ぎ手順を明確に定め、パスワード管理や権限変更を確実に実施することが重要です。
✅ 社内ルール規定例
第11条(アカウント引継ぎ)
SNS運用担当者が異動または退職する場合、以下の手順で引継ぎを行うこと。
(1) アカウント情報(ログイン情報・運用マニュアル)を責任者へ提出する。
(2) 新担当者への業務引継ぎ期間(最低2週間)を設け、実務指導を行う。
(3) 引継ぎ完了後、速やかにパスワードを変更し、不要な権限を削除する。
引継ぎが適切に行われていない場合、責任者が確認し、是正措置を実施する。
7. 緊急時連絡体制ルール
SNS運用では、炎上や不適切な投稿、アカウントの乗っ取りなどの緊急事態が発生する可能性があります。
これらのトラブルに迅速かつ適切に対応するためには、「誰が」「どのように」対応を行うのかを明確にし、緊急時の連絡体制を整備することが不可欠です。
✅ 社内ルール規定例
第12条(緊急時連絡体制)
SNS運用において、緊急事態が発生した場合は、以下の優先順位で連絡を行うものとする。
(1) 責任者(マーケティング担当) へ即時報告
(2) 広報部(社外対応・メディア対応)
(3) 法務部(法的措置の検討)
(4) 情報システム部(アカウント乗っ取り時の対応)
(5) 経営層(事態が企業全体に影響する場合)
・すべての対応内容は記録し、後日、再発防止策の策定を行う。
・緊急事態発生時の報告は、原則として「15分以内」に責任者へ行うこと。
・外部対応が必要な場合は、広報部および法務部の承認を得た上で実施すること。
・事態の収束後、必ず関係者間で振り返りを実施し、対応マニュアルの改善を行う こと。
これらのルールを定めることで、組織として継続的かつ効果的なSNS運用を実現できます。
各ルールは、運用状況に合わせて定期的に見直し、改善していくことが大切です。
3.アカウント管理: アカウントを安全に管理するためのルール
SNSアカウントは企業にとって重要なデジタル資産です。
アカウントの乗っ取り、情報漏洩、不正利用を防ぐために、厳格な管理ルールを策定し、セキュリティリスクを最小限に抑える必要があります。
📌 1. パスワード管理ルール
SNSアカウントのパスワードは、厳重に管理する必要があります。
パスワードが漏洩すると、アカウントの乗っ取り、不正投稿などのリスクが高まるため、以下のルールを定めます。
✅ 社内ルール規定例
第13条(パスワード管理)
(1) パスワードは12文字以上の英数字と記号を組み合わせたものとし、簡単に推測できるものは禁止する。
(2) パスワードの使い回しは禁止し、他のサービスで使用しているものと異なるものを設定する。
(3) パスワードは3ヶ月ごとに変更し、変更履歴を記録する。
(4) パスワードの保管には、セキュリティ管理ツールを使用し、紙やメモ帳に記載しない。
(5) パスワード変更時は、必ず管理者へ報告し、承認を得ること。
📌 2. アクセス権限ルール
SNSアカウントへのアクセス権限は、必要最低限の担当者にのみ付与し、情報漏洩リスクを抑えることが重要です。
✅ 社内ルール規定例
第14条(アクセス権限管理)
(1) 各担当者の役割に応じて、アクセス権限を以下のように分ける。
・責任者(マーケティング部):全権限(アカウント管理、パスワード変更、投稿の最終承認)
・投稿担当(広報部):投稿・編集・スケジュール設定権限
・コメント対応担当(営業部):コメント閲覧・返信権限
・分析担当(データ分析チーム):閲覧・データ取得権限
(2) アクセス権限の変更、追加、削除は、責任者の承認を得た上で実施する。
(3) 定期的(半年に一度)にアクセス権限を見直し、不要な権限は即時削除する。
(4) 退職・異動が発生した場合、当該担当者のアクセス権限を即時削除し、パスワードを変更する。
📌 3. 端末管理ルール
SNSアカウントへのアクセスに使用する端末を適切に管理し、盗難や紛失による情報漏洩を防止します。
✅ 社内ルール規定例
第15条(端末管理)
(1) SNSアカウントへのアクセスは、業務用端末(会社支給のPC・スマートフォン)からのみ行い、私用端末でのログインは禁止する。
(2) 端末にはパスワードロックを設定し、第三者による不正利用を防ぐ。
(3) 端末を紛失・盗難した場合は、直ちに責任者へ報告し、リモートロックまたはデータ消去を実施する。
(4) 端末にウイルス対策ソフトをインストールし、定期的にセキュリティアップデートを行う。
📌 4. アカウント乗っ取り時対応ルール
万が一、SNSアカウントが乗っ取られた場合、迅速な対応が必要です。
乗っ取りによる被害を最小限に抑えるため、事前に対応ルールを明確に定めておきます。
✅ 社内ルール規定例
第16条(アカウント乗っ取り時対応)
(1) アカウントが乗っ取られた可能性がある場合、即座に以下の手順を実施する。
・責任者へ即時報告し、対応指示を仰ぐ。
・アカウントのパスワードを変更し、二段階認証を有効化する。
・プラットフォームのサポート窓口へ連絡し、アカウント復旧を依頼する。
・社内で原因を分析し、再発防止策を策定する。
(2) 乗っ取りによる不適切な投稿が発生した場合、被害状況を把握し、速やかに訂正・謝罪を行う。
(3) 必要に応じて、法務部と協議し、法的対応を検討する。
📌 5. 退職者アカウントの取り扱いルール
SNS運用担当者が退職・異動する際は、アカウントの管理を適切に引き継ぐことが重要です。
✅ 社内ルール規定例
第17条(退職者アカウント管理)
(1) 担当者が退職・異動する場合、以下の対応を実施する。
・即時パスワードを変更し、退職者のアクセス権限を削除する。
・必要なデータを新担当者に引き継ぐ(過去の投稿履歴、運用マニュアルなど)。
・SNSアカウントの管理責任者が、引継ぎ状況を確認し、完了後に報告する。
(2) 退職者が不正にSNSアカウントを利用した場合、法的措置を検討する。
SNSアカウントの管理は、企業のブランドイメージや情報資産を守るために不可欠です。
適切なルールを定めることで、不正アクセス・情報漏洩・乗っ取りなどのリスクを最小限に抑え、安全なSNS運用を実現できます。
1️⃣ パスワード管理を徹底し、定期的な変更を義務付ける。
2️⃣ アクセス権限は必要最低限とし、定期的に見直す。
3️⃣ SNSアカウントへのアクセスは業務用端末に限定し、セキュリティ対策を強化する。
4️⃣ アカウント乗っ取り時の対応手順を明確にし、迅速な復旧を可能にする。
5️⃣ 退職者のアカウント管理を厳格化し、不正利用を防止する。
これにより、SNSアカウントの安全性を確保し、企業リスクを最小限に抑えることができます。
4.発信内容: どのような情報を発信するのか?
企業のSNS運用では、発信内容がブランドの信頼性を左右する重要な要素です。
適切な情報発信ができれば、顧客との関係性が強まり、企業価値の向上につながります。
一方で、基準が曖昧なままでは、炎上や誤解を招くリスクが高まるため、ルールの策定が不可欠です。
ブランドを守りながら、効果的な情報発信を行うために、発信基準・表現ルール・情報ソースの取り扱いについてルールを決めましょう。
📌 1. 発信内容に関するルール
企業のSNSでは、どのような情報を発信するのかを明確にすることが重要です。
発信する情報をルール化することで、企業のブランディングを強化し、適切なターゲット層へ確実にリーチできます。
✅ 社内ルール規定例
第18条(発信内容の基準)
(1) 発信する情報のテーマは、原則として以下のいずれかに該当するものとする。
・自社の商品・サービスに関する情報(新商品、キャンペーン、プロモーションなど)
・業界の最新情報やトレンド(市場動向、ニュース、技術革新など)
・企業文化や取り組み(CSR活動、イベント報告、社員インタビューなど)
・顧客への役立つ情報(How-toコンテンツ、Q&A、ユーザー事例など)
(2) 企業のブランドイメージに合致しない情報の発信は禁止する。
(3) 発信する情報の正確性を担保し、誤解を招く表現は避ける。
(4) 個人情報や機密情報が含まれる場合は、責任者の承認を得た上で発信する。
📌 2. トーン&マナーに関するルール
SNS上でのトーン&マナーは、企業のブランドイメージを統一し、ユーザーに一貫したメッセージを伝えるために必要です。
✅ 社内ルール規定例
第19条(トーン&マナー)
(1) 企業のブランドガイドラインに基づいたトーン&マナーを維持する。
(2) プラットフォームごとの特性を考慮し、適切な文体を使用する。
・TikTok・Instagram:カジュアルで親しみやすい表現を推奨
・X(旧Twitter):速報性を重視しつつ、適切な敬語を使用
・LinkedIn:ビジネス向けのフォーマルな文体を使用
(3) 言葉遣いは、ポジティブかつユーザーに寄り添うものとし、誤解を招く表現は避ける。
(4) 顧客との信頼関係を構築するため、感謝の言葉や丁寧な対応を心がける。
📌 3. 表現に関するルール
SNSは拡散力が強いため、意図しない表現が誤解を生み、炎上につながる可能性があります。
企業の信用を守るため、発信内容の表現方法について明確なルールを定めます。
✅ 社内ルール規定例
第20条(表現のルール)
(1) 差別的、攻撃的、誤解を招く表現は禁止する。
(2) 競合他社を誹謗・中傷する発言は禁止する。
(3) 誇張表現や虚偽情報を含む投稿は禁止する。
(4) 炎上しやすい話題(政治・宗教・人種・ジェンダーなど)には慎重に対応する。
(5) 社内の重要な情報(未発表製品、内部方針など)は許可なく発信してはならない。
📌 4. 情報ソースに関するルール
SNSにおける情報の正確性は、企業の信用を左右します。
誤った情報の発信は、企業の信頼を失墜させるリスクがあるため、情報ソースを明確にするルールを定めます。
✅ 社内ルール規定例
第21条(情報ソースの明確化)
(1) 発信する情報は、信頼できる情報ソースに基づいたものとする。
(2) 外部情報を引用する場合は、必ず引用元を明記する。
(3) 一次情報(公式発表、専門機関、研究データなど)を優先的に活用する。
(4) フェイクニュースや未確認情報の発信は禁止する。
(5) 自社が発信する情報の正確性を確保するため、投稿前に事実確認を徹底する。
📌 5. プラットフォームごとの発信ルール
各SNSプラットフォームには、それぞれ特性があり、発信する内容を適切に調整する必要があります。
プラットフォームごとの最適なコンテンツ形式を明確にすることで、より効果的な情報発信が可能になります。
✅ 社内ルール規定例
第22条(プラットフォーム別発信ルール)
(1) TikTok:短尺動画を活用し、エンタメ要素を含めた情報発信を行う。
(2) Instagram:写真・動画を中心に、ビジュアルで魅力を伝えるコンテンツを作成する。
(3) X(旧Twitter):リアルタイム性を活かし、最新情報や速報を発信する。
(4) LinkedIn:ビジネス向けのコンテンツ(業界ニュース、企業文化、採用情報など)を発信する。
(5) Facebook:幅広い年齢層向けに、コミュニティを意識した投稿を行う。
(6) YouTube:長尺動画を活用し、商品の詳細説明や企業のストーリーを伝える。
企業のSNS運用において、発信内容のルールを明確にすることは、ブランド価値を守る上で不可欠です。
適切なルールを策定し、一貫性のある発信を行うことで、企業の信頼を高め、SNS運用の効果を最大化できます。
1️⃣ 発信する情報の基準を明確にし、ブランディングを統一する。
2️⃣ トーン&マナーを統一し、ユーザーに一貫したメッセージを伝える。
3️⃣ 不適切な表現を排除し、ブランドイメージを維持する。
4️⃣ 情報ソースを明確にし、正確な情報を発信する。
5️⃣ プラットフォームごとの特性を理解し、最適な発信方法を選択する。
これにより、SNS運用における発信の質を向上させ、リスクを抑えながら最大の効果を発揮することが可能になります。
5. 禁止事項: 絶対にやってはいけないことは?
SNS運用では、発信する内容を明確にするだけでなく、「絶対にやってはいけないこと」を明文化することが欠かせません。
ルールを定めることで、担当者が迷わず適切な判断ができ、リスクを未然に防ぐことができます。
また、禁止事項を明確にすることで、企業のブランドイメージを保ち、炎上や法的トラブルを回避できるようになります。
📌 1. 具体的な禁止事項のルール
企業アカウントを安全に運用するために、以下の禁止事項を厳守する必要があります。
✅ 社内ルール規定例
第23条(禁止事項)
企業のSNS運用において、以下の行為を禁止する。
(1) 企業のブランドイメージを損なう行為
・誹謗中傷、差別的発言、わいせつ表現などの不適切な投稿
・企業や商品・サービスに関する虚偽の情報発信
・顧客や取引先に対する攻撃的・侮辱的な対応
・社内の機密情報や未公開情報の漏洩
(2) 法律やプラットフォームの規約に違反する行為
・著作権、商標権、肖像権などの知的財産権の侵害
・景品表示法や個人情報保護法などの法令違反
・各SNSプラットフォームの利用規約に抵触する投稿
(3) 炎上やトラブルを招く可能性のある行為
・政治・宗教・社会問題に関する個人的な意見の発信
・事実に基づかない批判的な投稿
・顧客や従業員のプライベートな情報を無断で公開
📌 2. 外部アカウントへの誘導ルール
企業の公式LINEや他のSNS、メルマガなどへの誘導は、マーケティング戦略の一環として有効です。
しかし、過剰な誘導や不適切なリンクの共有は、アカウント凍結のリスクを伴うため慎重に行う必要があります。
✅ 社内ルール規定例
第24条(外部アカウントへの誘導)
企業SNSの運用において、外部アカウントへの誘導は以下のルールに従うものとする。
・誘導先のプラットフォームやコンテンツは、企業のブランドイメージに適したものに限定する
・「登録しないと損!」といった誇張した誘導表現は避ける
・各SNSプラットフォームの規約に違反しない形で誘導を行う
・短期間に大量の誘導投稿を行うことは禁止とする
外部アカウントへの誘導に関する最終判断は、マーケティング担当責任者が行うものとする。
📌 3. 過去の投稿に関するルール
SNSに投稿された情報は、時間が経過しても閲覧されるため、過去の投稿内容が現在の企業方針やブランド戦略に適合しているか定期的に確認する必要があります。
場合によっては、削除や修正の対応が求められることもあるため、明確な基準を設けましょう。
✅ 社内ルール規定例
第25条(過去の投稿の管理)
企業のSNS運用において、過去の投稿の管理は以下のルールに従うものとする。
・過去の投稿を削除または修正する場合は、責任者の承認を得ること
・企業のブランドイメージや戦略に合致しない投稿は、定期的に見直しを行う
・過去の投稿による炎上の兆候を察知した場合は、速やかに対応策を講じる
過去の投稿管理に関する最終判断は、広報部またはマーケティング担当責任者が行うものとする。
れらのルールを厳守することで、SNS運用におけるリスクを最小限に抑え、安全かつ効果的な運用を実現できます。
ルールは一度策定したら終わりではなく、定期的に見直し、改善を重ねることが重要です。
6. 承認フロー: 投稿前のチェック体制はどうする?
SNSでの情報発信は、企業のブランド価値や信用に直結します。
そのため、投稿前に適切な承認フローを設けることで、不適切な投稿や誤情報の発信を防ぎ、炎上リスクを最小限に抑えることが可能です。
承認フローの設定方法、チェック項目、ツールの活用、緊急時の対応などについて整理し、社内ルールとして明文化しましょう。
📌 1. 承認ルートの設定
SNS投稿は、複数の関係者が関与するため、投稿前のチェックフローを確立することが不可欠です。
承認ルートを明確に定めることで、責任の所在を明確にし、誤った情報発信を防ぐことができます。
✅ 社内ルール規定例
第26条(承認ルート)
企業のSNS投稿は、以下の承認ルートを経て発信するものとする。
1.投稿担当者(広報部):投稿内容の作成、画像・動画編集
2.チェック担当(マーケティング担当):表現の確認、ブランドイメージとの整合性チェック
3.責任者(マーケティング部長):最終承認、法的リスクや機密情報の確認
4.投稿担当者:承認後、スケジュール設定または即時投稿
各投稿は、最低2名以上の承認を経た後に発信するものとする。
📌 2. チェック項目の明確化
投稿前に何をチェックすべきかを具体的に定めることで、確認の精度を向上させます。
誤解を招く表現や、不適切なコンテンツの投稿を防ぐためのチェックリストを作成し、運用に活用します。
✅ 社内ルール規定例
第27条(投稿前チェック項目)
投稿前に、以下の項目を必ずチェックすること。
・ブランドイメージの維持:企業のブランド価値や方針に合致しているか?
・表現の適切性:差別的・攻撃的・過激な表現が含まれていないか?
・誤字・脱字の有無:文法ミスや、意味が変わる誤字がないか?
・法令順守:著作権、肖像権、商標権などの権利を侵害していないか?
・事実確認:情報が正確であり、虚偽や誤解を招く表現が含まれていないか?
・炎上リスクの有無:「炎上さしすせそ」に該当する表現が含まれていないか?
(※災害・差別・思想・宗教・スパム・政治・セクシャルなどのデリケートな話題)
すべての項目を満たした場合のみ、投稿を承認すること。
📌 3. 承認ツールの活用
承認フローをスムーズにするために、専用のツールを活用することで、業務効率を向上させることができます。
✅ 社内ルール規定例
第28条(承認ツールの利用)
SNS投稿の承認には、以下のツールを利用するものとする。
・Googleドキュメント・スプレッドシート:投稿内容の作成・編集・管理
・ワークフロー管理ツール(例:Slack / Trello / Notion):承認状況の可視化
・SNS管理ツール:投稿予約・スケジュール管理
ツールの運用方法は、別途定めたマニュアルに従うものとする。
📌 4. 緊急時投稿の承認フロー
災害発生時や企業に関する重要な発表が必要な場合、通常の承認フローでは対応が間に合わないケースもあります。
このような緊急時には、特別な承認フローを用意し、迅速な情報発信を可能にします。
✅ 社内ルール規定例
第29条(緊急時投稿)
緊急時には、以下の承認フローに従って投稿を行う。
・緊急時判断:責任者(マーケティング担当)が投稿の必要性を判断
・即時承認:責任者の承認のみで投稿可能とする
・内容確認:投稿後、改めて内容の精査を実施し、必要に応じて修正・追記
緊急時対応に関する詳細は、別途「緊急時対応マニュアル」に従うものとする。
📌 5. 承認履歴の管理
誰がどのような内容を承認したのかを記録することで、万が一のトラブル発生時にも適切な対応が可能になります。
✅ 社内ルール規定例
第30条(承認履歴の管理)
すべてのSNS投稿に関する承認履歴は、以下の方法で管理するものとする。
・承認者の氏名、承認日時、投稿内容を記録する
・承認履歴は6ヶ月間以上保存し、必要に応じて監査できる状態にする
・承認履歴は、SNS運用チーム内で共有し、運用改善に活用する
SNS投稿の承認フローを整備することで、以下のメリットが得られます。
1️⃣ 投稿の品質向上:誤情報や不適切な投稿を防ぐことで、ブランドの信頼性を維持できる。
2️⃣ リスク管理の強化:投稿前のチェックを徹底することで、炎上や法的トラブルを回避できる。
3️⃣ 業務の効率化:承認ツールを活用することで、業務負担を軽減し、スムーズなSNS運用が可能になる。
承認フローは、一度作成して終わりではなく、運用状況に応じて見直し、適宜アップデートしていくことが重要です。
7. コメント対応: ユーザー対応の基本方針
SNSは、企業とユーザーが直接コミュニケーションを取る場でもあります。
適切なコメント対応を行うことで、ユーザーの信頼を獲得し、ブランドロイヤリティの向上も可能です。
しかし、対応を誤ると炎上のリスクが高まり、企業イメージを損なう可能性もあります。
コメント対応の基本ルール、エスカレーションフロー、緊急時の対応について整理し、社内ルールとして明文化しましょう。
📌 1. コメント対応の基本ルール
コメント対応は、ユーザーの印象を大きく左右するため、ルールを明確に定め、担当者ごとに対応基準を統一することが不可欠です。
特に、批判的なコメントやクレームに対しては、感情的な対応を避け、慎重に対応する必要があります。
✅ 社内ルール規定例
第31条(コメント対応の基本ルール)
企業のSNSコメント対応において、以下のルールを遵守すること。
・好意的なコメント:感謝の意を伝え、できる限り返信する
・質問コメント:迅速かつ正確に回答し、ユーザーの不安を解消する
・批判的なコメント:感情的にならず、誠実に対応する
・誹謗中傷・攻撃的なコメント:原則として返信せず、必要に応じて削除または通報する
・炎上リスクがあるコメント:すぐに責任者にエスカレーションし、対応方針を決定する
📌 2. コメント対応の時間ルール
SNSは24時間稼働しているため、ユーザーからのコメントは常に発生する可能性があります。
しかし、すべてのコメントに即座に対応することは難しいため、対応時間のルールを定め、迅速な返信を心がけることが重要です。
✅ 社内ルール規定例
第32条(コメント対応時間)
SNSコメントへの対応時間は、以下の通りとする。
・対応時間:平日10:00~18:00(休日対応なし)
・通常のコメント:原則として24時間以内に対応する
・クレーム・批判的コメント:速やかに確認し、48時間以内に対応する
・炎上リスクのあるコメント:即時に責任者に報告し、対応方針を決定する
📌 3. エスカレーションフロー
批判的なコメントや炎上リスクのある投稿に対しては、担当者が独断で対応するのではなく、適切な判断を仰ぐことが重要です。
特に、法的な問題に発展する可能性がある場合は、法務部や広報部との連携が不可欠です。
✅ 社内ルール規定例
第33条(エスカレーションフロー)
コメント対応において、以下の基準に該当する場合は、速やかに責任者にエスカレーションすること。
・対応に専門知識が必要な場合(例:法律、契約、技術的な内容)
・批判的な内容で、慎重な判断が必要な場合
・炎上の兆候が見られる場合(例:「RT・シェア急増」「まとめサイトでの言及」)
・人権侵害や名誉毀損に該当する可能性がある場合
エスカレーション後は、責任者が関係部署と協議し、対応方針を決定するものとする。
📌 4. 削除・ブロックの基準
コメントの削除やユーザーのブロックは、慎重に判断する必要があります。
不適切なコメントに対して過度に削除対応を行うと、「企業が言論統制している」という印象を与え、さらなる批判を招く可能性があります。
✅ 社内ルール規定例
第34条(削除・ブロックの基準)
以下の内容を含むコメントは、即時削除し、場合によってはユーザーをブロックするものとする。
・誹謗中傷・差別的な発言
・個人情報を含むコメント(住所、電話番号、メールアドレスなど)
・法律・規約に違反する投稿(著作権侵害、虚偽情報の拡散など)
・わいせつ・暴力的な表現
・スパム投稿・過度な宣伝行為
削除・ブロックを実施した場合は、対応の記録を残し、関係部署と共有すること。
📌 5. コメント対応の履歴管理
対応履歴を記録することで、後のトラブル対応や業務改善に役立てることができます。
また、クレーム対応の事例を蓄積することで、今後の対応方針をより精度の高いものにすることができます。
✅ 社内ルール規定例
第35条(対応履歴の管理)
SNSコメントへの対応履歴は、以下の方法で管理するものとする。
・記録内容:コメント内容、対応日時、担当者、対応結果
・保存方法:社内の共有フォルダまたは管理システムに保存
・保存期間:6ヶ月以上
定期レビュー:月1回、過去の対応履歴を振り返り、改善点を共有
適切なコメント対応を行うことで、以下のメリットが得られます。
1️⃣ ユーザーの信頼獲得:迅速かつ丁寧な対応で、ブランドの好感度が向上する
2️⃣ リスクの最小化:批判的なコメントに対して適切に対応することで、炎上を防ぐことができる
3️⃣ 業務の効率化:エスカレーションフローや履歴管理を徹底することで、スムーズな対応が可能になる
コメント対応は、単なるカスタマーサポートではなく、企業のブランド価値を高める重要な要素の一つです。
ルールを定め、組織として適切な対応を心がけましょう。
8. モニタリング: 炎上の芽を早期発見するには?
SNS運用において、炎上やトラブルを未然に防ぐためには、継続的なモニタリングが欠かせません。
企業の評判を守り、迅速な対応を実現するためには、炎上の兆候を早期に察知し、適切な対策を講じることが重要です。
SNSのモニタリング体制の構築、監視キーワードの設定、ツールの活用方法、緊急時の報告フローについて整理し、社内ルールとして定めましょう。
📌 1. モニタリング体制の構築
SNSのモニタリングは、単なる投稿の確認ではなく、企業の評判管理(レピュテーション・マネジメント)の一環です。
定期的な監視を行うことで、ユーザーの反応を把握し、炎上の兆候を見逃さない体制を整えましょう。
✅ 社内ルール規定例
第36条(モニタリング体制)
SNSのモニタリングは、以下の担当者が実施するものとする。
・広報部:ブランド名や企業に関する投稿の監視
・カスタマーサポート部門:顧客からの問い合わせ・クレーム対応
・マーケティング部門:競合他社の動向・市場トレンドの分析
各担当者は、モニタリングの結果を週次レポートとして責任者に提出し、必要に応じて対策を講じるものとする。
📌 2. 監視キーワードの設定
炎上の兆候を素早く察知するためには、監視すべきキーワードを明確に定める必要があります。
企業名やブランド名だけでなく、ネガティブワードやトレンドワードもリストアップし、リアルタイムで監視できる体制を整えましょう。
✅ 社内ルール規定例
第37条(監視キーワード)
SNSモニタリングにおいて、以下のキーワードを監視対象とする。
・企業・ブランド名(例:「○○株式会社」「○○ブランド」)
・商品・サービス名(例:「○○シャンプー」「○○アプリ」)
・ネガティブワード(例:「炎上」「最悪」「詐欺」「クレーム」)
・競合他社のブランド名(例:「○○社」「○○製品」)
監視キーワードは定期的に見直し、最新のトレンドを反映するものとする。
📌 3. モニタリングツールの活用
SNSの投稿は膨大な量があり、人の手だけで監視することは困難です。
モニタリングツールを活用することで、リアルタイムでの監視が可能になり、効率的に情報を収集することができます。
✅ 社内ルール規定例
第38条(モニタリングツール)
SNSモニタリングには、以下のツールを活用するものとする。
・SNS監視ツール(例:Hootsuite)
・口コミ・レビューサイトの監視ツール(例:Googleアラート、Yahoo!リアルタイム検索)
・炎上検知ツール(例:Social Insight)
モニタリングツールの操作方法については、別途マニュアルを作成し、担当者に周知徹底すること。
📌 4. モニタリング頻度
モニタリングの頻度は、企業のSNS運用方針やリスクレベルによって調整する必要があります。
リアルタイム監視が必要なケースと、定期的なチェックで十分なケースを明確に定めましょう。
✅ 社内ルール規定例
第39条(モニタリング頻度)
SNSのモニタリングは、以下の頻度で実施するものとする。
・通常時:1日2回(午前・午後)
・キャンペーン実施期間中:リアルタイム監視(1時間ごとにチェック)
・炎上発生時:常時監視(状況が沈静化するまでリアルタイムで監視)
モニタリングの結果は、週次でレポートを作成し、関係部署と共有すること。
📌 5. 緊急時の報告フロー
モニタリングの結果、異常な事態や炎上の兆候を発見した場合、速やかに関係者に報告し、対応を検討する必要があります。
報告フローを明確に定め、迅速な対応ができる体制を整えましょう。
✅ 社内ルール規定例
第40条(緊急時報告フロー)
SNSモニタリングにおいて、以下のケースを発見した場合は、即時に責任者に報告すること。
・批判的な投稿が急増した場合(例:「#○○不買運動」がトレンド入り)
・インフルエンサーやメディアに取り上げられた場合
・炎上リスクが高いコメント・投稿を発見した場合
・誤情報・デマの拡散が確認された場合
報告を受けた責任者は、関係部署と協議の上、対応方針を決定するものとする。
📌 6. 炎上リスクの評価基準
すべてのネガティブコメントが炎上に発展するわけではありません。
どの段階で対応を行うべきかを明確にするために、炎上リスクを評価する基準を設けることが重要です。
✅ 社内ルール規定例
第41条(炎上リスク評価基準)
SNS上でネガティブな投稿が発生した際、以下の基準に基づき対応レベルを判断する。
レベル1(低リスク):批判的なコメントが少数発生 → 通常対応(返信 or 放置)
レベル2(中リスク):複数のコメント・シェアが発生 → 迅速なコメント対応・訂正発表
レベル3(高リスク):トレンド入り・まとめサイト掲載 → 緊急会議の開催、公式発表を検討
レベル4(重大リスク):メディア報道・法的措置の可能性 → 弁護士と協議、広報対応
炎上リスクの評価は、責任者が判断し、必要に応じて法務部・広報部と連携するものとする。
SNSモニタリングを徹底することで、以下のメリットを得ることができます。
1️⃣ 炎上の早期発見:トラブルが拡大する前に適切な対策を講じることができる
2️⃣ ブランドイメージの保護:誤情報やネガティブな噂の拡散を防ぐ
3️⃣ ユーザーの声を活かした改善:ポジティブ・ネガティブ両方の意見を企業の成長に活かす
モニタリングは「炎上を防ぐ」だけでなく、「企業のブランド価値を高める」ための重要な施策です。
適切なルールを策定し、継続的な監視体制を構築していきましょう。
9.危機管理: 緊急時対応はどうする?
SNS運用において、炎上やアカウント乗っ取りなどの緊急事態は予測できないタイミングで発生します。
企業の信頼を守るためには、事前に危機管理体制を整備し、迅速かつ適切な対応を行うことが不可欠です。
緊急時の連絡体制、対応手順、担当者の役割分担、対応マニュアルの整備、想定問答集の活用、弁護士・専門業者との連携方法について整理し、社内ルールとして定めましょう。
📌 1. 緊急時の連絡体制
緊急事態が発生した際に、適切な担当者へ迅速に情報を伝達することが重要です。
初動対応の遅れが、さらなる炎上やトラブル拡大を招く可能性があるため、連絡網を整備し、迅速な対応を実現しましょう。
✅ 社内ルール規定例
第42条(緊急時の連絡体制)SNS運用において、緊急事態が発生した場合は、以下の優先順位で連絡を行うものとする。
・SNS運用責任者(マーケティング担当):状況判断、対応方針の決定、関係部署との連携
・広報部門:社外向け発表の準備、報道対応
・法務部門:法的リスクの検討、投稿削除や法的措置の準備
・情報システム部門:アカウント乗っ取りや技術的な問題の対応
緊急連絡網は、最新の状態に保ち、全担当者に周知徹底するものとする。
📌 2. 緊急時の対応手順
トラブル発生時に社内で混乱を防ぐため、あらかじめ対応手順を定めておきましょう。
初動対応の遅れは、炎上の拡大やブランドイメージの低下につながるため、迅速な対応が求められます。
✅ 社内ルール規定例
第43条(緊急時の対応手順)SNS運用において、以下の手順に従って対応を行うものとする。
・事象の確認:SNS上で発生した問題を把握し、影響範囲を確認する。
・責任者へ報告:緊急連絡網に従い、速やかに責任者へ報告。
・初期対応の実施:投稿削除、訂正投稿、謝罪文作成など、事態に応じた初動対応。
・関係部署との協議:広報・法務・経営層と連携し、今後の対応方針を決定。
・モニタリングの強化:影響が広がっていないか、継続的に監視を実施。
・対応結果の記録:問題の発生から対応完了までを詳細に記録し、再発防止策を策定。
📌 3. 担当者の役割分担
緊急時に迅速な対応を実現するため、担当者ごとの役割を明確に定めておきましょう。
誰が、どの業務を担当するのかを明確にすることで、対応の遅れや混乱を防ぎます。
✅ 社内ルール規定例
第44条(緊急時担当者の役割分担)SNS運用における緊急時対応の担当者と役割は、以下の通りとする。
・責任者(マーケティング担当):全体指揮、対応方針の決定
・広報担当:社外発信の管理、メディア対応
・法務担当:法的措置の検討、投稿削除対応
・IT担当:アカウントの技術的トラブル対応、乗っ取り対策
各担当者は、自身の役割を正確に遂行し、適切な情報共有を行うこと。
📌 4. 緊急時対応マニュアルの整備
事態が発生した際に適切な対応を行うためには、対応マニュアルを整備しておくことが必要です。
過去の事例を参考に、具体的な対応手順を明文化しておきましょう。
✅ 社内ルール規定例
第45条(緊急時対応マニュアル)SNS運用における緊急時対応については、以下の内容を含むマニュアルを作成し、全担当者に共有するものとする。
・緊急連絡網
・炎上発生時の初動対応
・投稿削除・訂正の手順
・メディア対応のポイント
・法的措置の検討基準
緊急時対応マニュアルは定期的に見直し、最新の情報を反映するものとする。
SNS運用において、緊急事態の発生は避けられないリスクの一つです。
しかし、事前にルールを策定し、適切な対応手順を整備することで、被害を最小限に抑え、企業の信頼を維持することが可能になります。
1️⃣ 緊急時連絡網を明確化する
→ 緊急事態発生時、誰に・どのように連絡するのかを明確にし、迅速な情報共有を可能にする。
2️⃣ 対応手順を事前に策定する
→ 炎上やアカウント乗っ取りが発生した際に、初動対応の遅れを防ぐため、適切な手順を明文化する。
3️⃣ 役割分担を徹底する
→ 事態収束のために誰が何を担当するのか明確にし、混乱を最小限に抑える。
4️⃣ 対応マニュアル・想定問答集を作成する
→ 緊急時に即座に対応できるよう、社内で統一された基準を用意し、スムーズな対処を実現する。
これらのルールを明確にすることで、組織全体が一丸となり、適切な危機管理対応を実現できます。
また、ルールは一度策定して終わりではなく、運用状況に応じて定期的に見直し、最適化を図ることが重要です。
まとめ
企業のSNS運用において、社内ルールの整備は「リスク管理」と「ブランド価値の向上」の両面で欠かせない要素です。
ルールが明確でなければ、炎上や情報漏洩のリスクが高まり、逆に厳しすぎるルールは運用を硬直化させ、成果につながりにくくなります。
本章で解説した「鉄壁の社内ルール」 「9つの必須項目」 をベースに、自社の状況に応じたルールを策定し、運用の最適化を進めてください。
1️⃣ リスク管理と運用効率の両立が必要
ルールはリスク回避だけでなく、SNSの効果を最大限に引き出す目的もある。
2️⃣ 「守るべきこと」「やってはいけないこと」を明確に
適切なガイドラインを作ることで、迷いなく運用ができる。
3️⃣ ルールは一度作って終わりではない
SNS環境は変化が激しいため、定期的に見直し、改善を行うことが重要。
