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第1章:アカウント運用の目的と到達目標の設定

「フォロワーは増えているのに、なぜか成果につながらない」
多くの企業がTikTok運用で直面するこの課題の原因は、戦略の出発点である「目的」と「目標」の混同にあります。

目的は、運用全体の“羅針盤”。
一方で目標は、進捗を確認しながら進むための“マイルストーン”。

この2つを正しく理解し、明確に区別した上で設計することで、成果につながるブレない戦略がつくれます。

本章では、「目的」と「目標」の違いとその重要性、実際の設計手順、
そして目標達成に必要な行動の具体例までを段階的に解説していきます。

目次

目的と目標の違いを理解すべき理由

TikTokを運用する際、多くの企業が最初に躓くのが「目的」と「目標」の違いを曖昧にしたまま進めてしまうことです。

例えば、「バズらせるために毎日投稿する」という行動は、短期的な数値を追う“目標”に偏りすぎており、長期的に何を実現したいかという“目的”が抜け落ちています。

「目的=なぜやるのか」
「目標=何をどこまでやるのか」


という明確な線引きを理解し、「なぜ目的と目標の違いを理解する必要があるのか」整理していきましょう。

目的は「なぜ」を明確にすること

「目的」とは、TikTokを運用する根本的な理由や意義のことです。
言い換えるなら、「なぜこのアカウントを立ち上げるのか?」という問いに対する答えになります。

この“なぜ”が明確でなければ、運用の方向性が定まらず、
行き当たりばったりの投稿や意味のないバズ狙いに終始してしまう恐れがあります。

良い目的設定の例
・若年層との接点を作り、ブランドへの親近感を持ってもらいたい
・採用活動の一環として、企業文化をSNS上で発信したい
・サービスに対する信頼性を高め、営業活動の前段階として認知を広げたい

このように、目的は長期的な成果やブランディングに関わる大枠の指針です。
数字では測れない部分も多いですが、この方向性がはっきりしていることで、どんな投稿を作るべきかが自然と決まってきます。

悪い目的設定の例】
・とにかくバズらせたい
・流行っているからTikTokを始める
・毎日投稿することが目的になっている

こうしたケースでは、「誰に・どんな価値を届けたいのか」が抜け落ちているため、戦略が迷走しがちです。
バズってもビジネス成果に繋がらない、という状態に陥る典型例といえるでしょう。

このように、正しく目的を設定することで、

・投稿のトーンや内容に一貫性が出る
・迷ったときに立ち戻る基準になる
・チーム全体で目指す方向性を共有しやすくなる


といったメリットも出てきます。


TikTokは「すぐに結果が出る」こともありますが、本質的にはブランドづくりや信頼構築のための長期戦略ツールです。
だからこそ、目的があるかないかで、成果の質が大きく変わるのです。

目標は「何を」を具体化すること

「目標」とは、設定した目的を実現するための具体的な行動・数値指標を指します。

たとえば、「若年層へのブランド認知を高めたい」という目的がある場合、
目標は

「3か月でフォロワーを1,000人増やす」
「週3本投稿する」

といった、進捗を測定するための“定量的なゴール”になります。

目的が“なぜやるか”を示すなら、目標は“何をどれだけやるか”を示すものです。

良い目標設定の例
・TikTokのフォロワー数を3か月で1,000人増やす
・毎週3本の動画を投稿し、平均エンゲージメント率10%を目指す
・2か月以内に店舗来店者数を5%増加させるための動画シリーズを展開する

このように、良い目標には数値・期間・行動内容が含まれているため、成果の可視化がしやすくなります。

悪い目標設定の例
・毎日バズる動画を投稿する
・とにかく再生数を増やす
・若年層に見てもらえるように頑張る

これらの目標は、数値が曖昧だったり、誰に届けたいのかが明確でなかったりします。
また、「バズる」こと自体が目的化してしまい、本来の戦略から逸れてしまう危険性も高くなります。

誤った目標設定: 動画のバズを狙うコンテンツを量産する。
(再生回数を増やすためだけの短期的なバズ投稿を増やす)

目標と目的をはき違えた運用をしてしまうと何が起こるのか?

「目的」と「目標」の違いがあいまいなままTikTok運用を始めると、施策の一貫性が失われ、時間やリソースが無駄になるリスクが高まります。

実際に、次のような状態に陥る企業は少なくありません。

よくある失敗パターン
・バズを狙って投稿を量産したが、ブランドの世界観とかけ離れた内容になってしまった
・再生回数は伸びたのに、売上や採用応募に繋がらなかった
・毎日の投稿に追われ、戦略を振り返る余裕がないまま消耗してしまった

これらの失敗は、「なぜやるのか(目的)」と「何をどれだけやるのか(目標)」を整理せずに運用を始めてしまったことが主な原因です。

TikTokは特にスピード感のあるSNSだからこそ、「なんとなく運用」では通用しません。
最初の設計段階で目的と目標を明確に分けておくことが、成功するアカウントの絶対条件です。

目的と目標の具体的な設計方法

目的と目標の違いが理解できたら、次はそれぞれを自社に合わせて具体的に設計するステップへ進みましょう。

ここでは、目的を言語化するための「質問フレーム」、そして実際に成果を出している企業の事例をもとに、目的と目標をどう設定すればよいかを分かりやすく整理していきます。

自社の方向性をブレさせず、チーム全体が納得感を持って運用を進められる状態を目指しましょう。

良い目的を作るための質問

「目的を明確にしましょう」と言われても、実際にどんな切り口で考えればよいか迷うことは少なくありません。

そこで活用できるのが、目的を掘り下げるための3つの質問フレームです。
これらを使えば、抽象的だった方針が具体的な目的として言語化しやすくなります。

【目的を明確にする3つの質問
1.TikTokを通じて、誰にどんな価値を届けたいのか?
→ターゲットと提供価値の明確化
2.自社のどんな強みや特性を伝えたいのか?
→ ブランドらしさや差別化ポイントの整理
3.TikTok運用の最終的なゴールは何か?
→売上増加、採用強化、信頼獲得などの明確化

この3つの問いに答えていくことで、
“投稿のための投稿”から脱却し、意味のある発信”ができるようになります。

【実践企業の例(化粧品ブランド)】
目的
「若い世代の肌ケアの悩みに寄り添い、ブランドを信頼される存在にする」
背景
ターゲット層の悩みを拾った上で、教育的コンテンツを通じて信頼を築きたいという意図
✅取り組み
肌悩みに関する短尺アドバイス動画を定期配信し、信頼性と親近感の両立を目指した

このように、“誰に”“何を伝えたいのか”が明確であれば、投稿内容やトーンにも一貫性と説得力が生まれます。

実際の企業事例(飲食PR)

実際に「目的と目標」を明確に設定し、TikTok運用で成果を出している企業の例を見てみましょう。
ここでは、飲食チェーンが新メニューの販促を目的にアカウントを活用した事例をご紹介します。

【飲食チェーンのTikTok活用事例】
目的
 新メニューの認知度を高め、若年層を店舗に呼び込むこと
背景
 2か月で関連動画の再生数を10万回、店舗の来店者数を月5%増加させる
行動計画
 ・店舗スタッフが出演する「メニュー紹介動画」を週3本投稿
 ・視覚的においしさが伝わるよう、短尺・高画質・リアクションを重視
 ・コメント欄でのやりとりを通じて、視聴者との接点を増やす



【結果と考察】
・投稿開始から2週間で動画がバズり、1本で再生数30万回を突破
・「見て食べたくなった」「週末行ってきた」などのコメントが多数寄せられ、店舗への来店者が急増
・TikTokが“集客導線”として社内で認識され、次のキャンペーンにも活用されるようになった

このように、目的と目標をセットで明確にすることで、「動画を出す意味」と「成功の定義」が共有され、行動にも無駄がなくなります。
「目指す状態」が定まっていれば、現場のスタッフも成果に向けて動きやすくなるのです。

目標設計に役立つSMARTの考え方

「目標を立てましょう」と言われても、感覚的・あいまいなものになりがちです。
そこで役立つのが、目標設定のフレームワークである「SMARTの法則」です。

SMARTとは、成果につながる良い目標に共通する5つの条件の頭文字を取ったもので、
これを使うことで、実現可能かつ測定しやすい具体的な目標を設計することができます。

SMARTの各要素(S・M・A・R・T)

SMARTとは、目標を設定する際に意識すべき5つの要素の頭文字を取ったフレームワークです。
TikTok運用においても、各項目を押さえることで“具体的で機能する目標”を立てやすくなります。

【S:Specific(具体的である)】
良い例:「3か月でフォロワーを1,000人増やす」
悪い例:「フォロワーを増やしたい」
具体的な数字や対象が明示されていないと、行動に結びつきません。

【M:Measurable(測定可能である)】
良い例:「動画のエンゲージメント率を10%以上にする」
悪い例:「もっと反応が増えるといいな」
測定できる指標がなければ、達成状況を評価できず改善も難しくなります。

【A:Achievable(達成可能である)】
良い例:「1か月で動画5本を投稿し、そのうち3本でクリック率5%以上を目指す」
悪い例:「1か月でフォロワーを1万人増やす」
背伸びしすぎる目標は挫折やモチベーション低下の原因になります。

【R:Relevant(目的と関連している)】
良い例:「若年層の認知拡大を目的に、週3本視覚的に楽しいコンテンツを投稿する」
悪い例:「毎日動画を投稿する」
目標は、上位の“目的”にしっかり結びついている必要があります。

【T:Time-bound(期限が設定されている)】
良い例:「3か月以内にECサイト経由の売上を月10万円にする」
悪い例:「いつか売上を上げたい」
期限があれば、チーム全体の集中力が上がり、改善もしやすくなります。

この5つの条件をすべて満たした目標こそが、TikTok運用の進捗管理と改善の軸になります。
ただ「頑張る」「もっと投稿する」では、戦略にはなりません。

良い目標/悪い目標の比較事例

SMARTの法則を理解したら、実際にそれを適用した具体的な目標設計の良し悪しを比較してみましょう。
ここでは、2つの代表的な目的(①ブランド認知、②販売促進)に対して、それぞれの良い・悪い目標の例を解説します。

【目的①:ブランドを若年層に認知させる】
🆗 良い目標
 「3か月でフォロワーを2,000人増やし、1本あたりの動画再生数を平均1万回にする」
 → 具体的・測定可能・達成可能・目的に直結・期限付きの5条件をすべて満たしている

悪い目標
 「若年層に認知されたいから、とにかく毎日動画を投稿する」
 → 数値化されておらず、投稿の質や効果の測定が困難。目的との関連性も薄い

【目的②:商品の販売促進】
🆗 良い目標
 「商品のクリック率を1か月で5%以上にし、TikTok経由の売上を月10万円増やす」
 → 明確なKPIとゴールがあるため、PDCAも回しやすい

悪い目標
 「商品の情報をとにかく多くの人に伝える」
 → 評価指標が存在せず、何が成功なのか判断できない

このように、良い目標には行動・数値・期限・目的との関連性が含まれています。
逆に、それらが欠けている目標は、方向性を見失いやすく、成果につながりにくいのです。

目標達成のための行動計画(良例・悪例)

SMARTな目標を設定したら、あとはそれを“どうやって達成するか”という行動レベルの設計です。
行動計画が適切であれば、日々の運用に迷いがなくなり、結果的に成果にも直結します。

ここでは、目的ごとに「良い行動計画」と「悪い行動計画」を紹介します。

【目的①:若年層認知を拡大したい】
目標:3か月でフォロワー2,000人を増やす

🆗良い行動計画
・トレンドを週ごとにリサーチし、若年層の興味に合う動画構成を組む
・週3本の投稿を継続し、人気投稿の分析を定期的に実施
・コメントに返信し、フォロワーとの関係構築に時間を割く

❌悪い行動計画
・自社の商品紹介ばかりを連続で投稿し、トレンドやユーザーの関心を無視
・投稿頻度が不定期で、「時間があるときに出す」スタイルに終始
・エンゲージメント分析を一切せず、過去の成功・失敗を活かさない

【目的②:ECサイト経由の売上を増やしたい】
目標:TikTok経由で月10万円の売上を達成する

🆗良い行動計画
・購入導線(CTA)を動画内とプロフィール両方で明示
・使用シーンやベネフィットを視覚的に伝える動画を作成
・限定クーポンやタイムセールを動画に組み込み、即行動を促す

❌悪い行動計画
・商品紹介動画を投稿するが、購入リンクやキャンペーンの案内がない
・「安い」「お得」などのコピーばかりで、商品の良さが伝わらない
・特典や期限を設定せず、ユーザーに“今買う理由”を与えていない

このように、目標と行動の整合性が取れているかどうかが、運用成功の大きな分かれ目になります。
行動計画が“なんとなく”になっていないか、常に立ち止まってチェックする習慣が重要です。

まとめ

TikTok運用を成果につなげるには、「目的」と「目標」を明確に区別し、それぞれを適切に設計することが必要不可欠です。
目的が曖昧なままでは方向性がブレ、目標が具体的でなければ改善すべき点も見えてきません。

「なぜやるのか(目的)」「何をどこまでやるのか(目標)」を最初に設計することで、日々の投稿にも戦略性が生まれます。

次章では、この戦略性をさらに高めるために必要な「KPIの設計」について解説していきます。
数値で運用を管理するための具体的な指標と、その活用方法を学んでいきましょう。

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